突然だが、「音楽療法」はいかがわしい。
「自閉症」という言葉を、文字の見た目で「引き籠もり」や「NEET」の意味で捉えている人が多い。
「日本の若者が自閉症に陥っている」などと平気で書いている厚顔無恥な物書きも後を絶たない。この件についてもじっくり書きたいが、別の機会に譲る。
「自閉症」という言葉自体を改称しようという運動もある。脳の機能障害である「自閉症」を一時の心を閉ざした状態を表す言葉として誤解を与えやすいからだ。
で、「音楽療法」だ。
断っておくが俺は「音楽療法」に関してまったくの素人、門外漢だ。最近、音楽療法の本の広告などを見ると「音楽が心を開く」というようなたわけた甘言がうたわれているので頭に来ているのだ。
自閉症の子供を抱えた親はつい期待を抱く。
「音楽療法」。なんとエレガントな解決だろう。音楽が心を開く。自閉症が治るようなものではないことを一番知っている親までも幾ばくかの期待を抱かせるイメージだ。
こんなものは詐欺だ。
音楽療法士になるコースなどが民間団体であるが、その資格を取っても仕事なんかない。あるとしたら、いま有名な「音楽療法士」と言われている人たちのメソードや本を売る仕事ぐらいだろう。
二流三流の音楽家崩れが商売のために「音楽療法」を宣伝する。「療法」と名乗ることが詐欺だ。
俺は音楽が大好きだ。真剣に音楽に取り組む人々を尊敬し、自らもそうありたいと願って日夜生きている。
だから音楽を何かの道具にしようとする人々を嫌う。駅のホームで否応なしに聞かされるクラシックの愚劣なこと。あれほど音楽をないがしろにする行為はない。
音楽芸術をなにかの役に立てよう、という心根が嫌いだ。
ベートーヴェンは誰かを「癒す」ために音楽を書いたか?自らの芸術に対する信念に従って書いたに過ぎない。あるいは依頼を受けて金のために。誠実な職人として最大限の努力を惜しまずに。
音楽を二次利用して金にしようと言うすべての行為が嫌なのだ。音楽作品には芸術音楽としての意味しかない。なにかを勝手に読み込んで、手あかまみれにするのはいい加減にしろ。
ワインにモーツァルトなんか聞かせるな。それをごいたいそうなことのように喜ぶな。
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コメント
わたしも音楽は大好き。
でもほとんどが大衆向けの娯楽性の高い音楽ばかり聞いています。
音楽を芸術として認識していないのかもしれません。
そういう気持ちでいるとこのような療法や癒しという「だまし」に簡単に乗せられてしまうのでしょうね。
耳が痛いはなしです。
投稿 しゅぺる | 2006年4月30日 (日) 20時43分
侍様、山にこもっての修行中、たまに下界に降りてこられてこうしてお話を聞かせてくださると、とってもうれしいです。
ワインにモーツアルトを聴かせる??
どうなるって言うんですか?
私は、そんな気長なことせずに飲んじゃうし、ワインのため、子供のため、だれかのために音楽を選ぶよりも自分の聴きたいもの最優先の自己中心ですので・・・(笑)。
投稿 有閑マダム | 2006年5月 2日 (火) 14時48分
うんうん。
マダムと同じく、ワインにモーツァルトを聞かせてどうすんのo(`へ´)oって派です。
侍さんのように「芸術」として認識できているかどうかはかなり「?」ですが、自分が好きだと思うものを自分の為に聴くのがスキです。
音楽療法かぁ。リラックスするために音楽を聴く、っていうのはなんとなくわかるんですが、療法ってつくと胡散臭いですね。
投稿 さいこ | 2006年5月 4日 (木) 12時26分