「ユナイテッド93」 UNITED93 「あの日」の思い出。

「あの日」を克明に覚えている。玉音放送を聞き、敗戦を悟り皇居前にひれ伏したあの日・・・・じゃなくって。。。。(w

夜10時からTBSラジオ「アクセス」を聞いていた。asahi.comにおや?というような画像が貼ってある。火事のようだ。ビルから煙が・・え?貿易センタービル?ニューヨーク?ラジオから小島慶子アナウンサーの声でニュースが読み上げられる。ビルに小型機が衝突、炎上している・・・すぐにテレビ朝日の「ニュース・ステーション」を見に走る。その後深夜までテレビの前に釘付け。

ユナイテッド航空93便は定刻より15分ほど遅れてニュージャージー州ニューアーク空港からサンフランシスコに向けて飛び立つ。ありふれた日常を乗せて。2001年9月11日の朝だ。素晴らしい快晴のマンハッタンを見下ろして。

United93アルカーイダの若者たちがホテルの一室でコーランを読みメッカに向けてひれ伏す場面からこの映画は始まる。淡々とした描写。ハンディカムを使い、ドキュメンタリ・タッチで出来事が時間の順に語られていく。

その朝は次々と異常事態が起こり、空港の管制官も軍も政府もまったくの混乱状態に陥っていくことが語られる。いくつもの旅客機が管制官からの支持に応答せずにコースを変え急降下する。ハイジャックされたとの情報も未確認なままだ。管制官がレーダーで追尾していたアメリカン航空11便が突然レーダーから消え去る。

マンハッタンの貿易センタービルに「小型機が衝突した」との情報が入る。航空管制の担当者がCNNのその画像を見ると、小型機とは思えない大きな穴がビルに空いている。混乱の極みのなかでやっと目の前で起こっている出来事の恐ろしさがわかってくる。

他の応答しない航空機はどうなるのか?衝突したのはアメリカン航空機11便なのか?なにもかも未確認のまま、目の前でもう一機がビルディングに衝突する。この場面の衝撃は忘れない。俺もテレビの前で声をあげた。映画のピークも実はこの場面だ。不覚にも涙がこみ上げてくる。

これら一切のことがあったにもかかわらず、ユナイテッド航空機は飛び続ける。アルカーイダのメンバー四人を乗せて。

United933_1淡々とした描写の積み重ねが恐ろしいサスペンスを生む。アルカーイダのメンバーの恐怖心も感じられる。乗客乗員の混乱と恐怖も身に迫る。

この事件の直後、ホワイトハウス突入を阻止した乗客たちの反撃が美化されてさんざん語られた。特に原理主義基督教徒たちが、クリスチャンの誰それがいかに自分の命を省みずアルカーイダに立ち向かったか、というような話だ。英雄譚になってしまっている。一般の新聞でも読んだし、熱心に語り聞かせる鬱陶しい知り合いがいた。

この映画はそのような映画でなかった。誰一人英雄めいた人物が出てこない。アルカーイダの四人も乗客たちもごく普通の人間にすぎない。それなのにこの悲劇。アルカーイダの目的は達せられなかったが乗客乗員は全員死亡した。

航空機が何機も乗っ取られ、軍も政府もなすすべもなく何千人もの命が失われた。アメリカの衝撃は計り知れない。もっとも、アメリカはよその国に原爆を落としたりして何十万人も一遍に殺しているけどな。東京の大空襲だってひどい話だろ。非戦闘員をめちゃくちゃに殺すのは日本だって支那や朝鮮でやったけどさ。おたがいさまだね(w

アルカーイダの四人が乗客たちの反乱に怯えて一心に「アッラー、アクバル!」と唱え続け、乗客たちが一心に「天にまします我らの神よ」と祈り続けているのが緊迫の中で笑える場面だった。

United932この人たち、乗客もアルカーイダも拝んでいる「主」「ヤーウェ」「天地の創造者である神」は同じものでしょ。イスラム教徒たちもいわゆる旧約聖書の「創世記」を信じているわけだし。キリストに対する態度の違いだけでしょ、結局。

アメリカ人の夜郎自大な感性が余すところなく伝わってくる佳作だ。

サスペンスとして上出来。「あの日」の思い出に浸りたいとき見るといい。俺はここに書かない「あの日」の特別な思い出もありありと再現できた。懐かしい。会いたいよ、もう一度。。。(w

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「四人の食卓」全智賢、全肯定!!!

2005-05-06 18:42:41

テーマ:(や行)

主人公には特別な能力がある。懇願されて、やむを得ず能力を使う。しかしそれを望んだ人が、能力の故に主人公を激しく憎悪する。

特別な力を持つことと、その悲しみを全智賢が好演している。実年齢より十才以上老けた役で、落ち着いた演技が要求される。はじけるようにしなやかな全智賢を期待するとはずれだが、演技の幅を持つ全智賢を見ることになる。

悲しく恐ろしい出来事の描写や、不気味な子供たちの出現など幻想的で美しい。俺はこの映画の静けさが好きだ。なにせ、全智賢全肯定のマニアだから。

ソウル郊外の高層団地群。

映像を見ていて、デジャビュにおそわれる。高島平、多摩ニュータウン、八潮の団地群。くらくらと目眩がしたまま、映画に引き込まれた。
四人の食卓1
俺の大好きな全智賢が、暗い、精神を病む主婦の役で出てくる。作品の中の天気も悪かったり、夜の場面も続き、白く美しい智賢の顔をなかなか見ることが出来ない。

映画として見て損はない。全智賢が好きな人はもちろん、映像美に浸りたい高踏趣味のスノッブにおすすめ。ソウル郊外の団地群の荒涼たる風景が恐ろしいと感じられる人に勧める。

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