イッセー尾形のヒロヒト・コント 「The Sun」(太陽)

昭和天皇裕仁に扮したイッセー尾形が面白い。もぐもぐさせる口許。手の表情。眼鏡の横顔。海洋生物を観察する首の傾き。有名な「あ、そう」という拍子抜けするリアクション。

昭和天皇を映像で見たことのある人なら、にやりとする演技だ。爆笑を誘うような下品な表現でない。押しつけない演技だ。演技者イッセー尾形の素晴らしさを堪能できる。

映画「The Sun(太陽)」 はロシア人の映画作家が歴史上の著名人を扱った作品の一つ。シナリオは愚劣なものだ。演出はどう見ても「コント」としか言いようがない。侍従たちの演技は 噴飯ものだ。物々しく意味ありげな映像が鬱陶しい。アメリカ兵の描写も下品であくどい。どこまでも「醜い」描写と洗練されたイッセー尾形の「ヒロヒト芸」 が続く。

実ににちぐはぐだ。上品なコメディと田舎芝居が未整理なまま偉そうな顔をして進んでいく。ロシア人作家の傲慢さと愚鈍さに苛立ち、見るに耐えない作品である。

映画は、昭和天皇が連合国に全面降伏を伝え、玉音放送をした後の皇室の日常を描写する。マッカーサーに会いに行く場面もある。歴史の転換点を描くのだが、 このロシア人監督はあまりに昭和天皇を矮小化する。およそ緊迫感もなにもない。この映画の唯一の見るべき点はイッセー尾形の「ヒロヒト・コント」のみだ。

この程度の皇室描写を恐れてろくに劇場公開しない日本の映画興行業界には相変わらずがっかりさせられる。昭和天皇裕仁の物まねが入っているから、と言うだ けで、公開しようとする劇場が極端に少ない。くだらないことだ。この映画を実際に見れば、どれほどロシア人作家が何もわからずにしたり顔で作品を作ってい るかわかるのに。日本人こそこの映画をみてその愚鈍さを笑うべきなのに。

テレビでイッセー尾形の上品な「ヒロヒト・コント」を見たいが腰抜けテレビでは無理なんだろう。嫌な世の中だ。

終わり近くに桃井かおり扮する昭和天皇の奥さん(皇后)が出てくる。失笑する。どの映画に出ても彼女は「桃井かおり」以外のキャラクタを演じられない。そ こが良さであり悪さである。外国人映画監督は桃井かおりが好きだねえ。日本人が桃井かおりを見て失笑するとはわからないんだろうな。そういうことだ。いっ そのこと、清水ミチコにすればよかったのに。清水ミチコの「桃井かおり」まねでイッセー尾形の「ヒロヒト芸」を受ける。実にマニアック。NHKでやったら いい。絶対見るけどな(w

おまけ。

日本の生物学業界ではいまや単なる一仮説に過ぎない「進化論」を「進化学」に昇格させたいという強い動きがある。京都大学霊長類研究所を中心に世界の常識 からは大きく逸脱した「進化」の研究に巨額の国費を投じている。先進諸国でこれほど「進化論」を盲信しているのは日本だけだ。その理由が昭和天皇の海洋生 物の研究にあるのではないか?と感じた。映画の中でヒロヒトの机の上に、ダーウィンの小さな胸像が置かれている描写があった。それで気が付いた。「進化 論」を揶揄している。日本人だけは猿から進化したと思っているんだろうな(w

え?あなたも自分のお父さんお母さんをたどっていけば猿になると思ってる?馬鹿だねえ。んなわけねぇよ。靖国神社で、戦争で死んだ人間が「英霊」になっているなんていうオカルトを信じないくらい俺は進化を信じない。悪いか!

イッセー尾形の「ヒロヒト・コント」、万歳!!

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「トゥルー・クライム」クリントさえ出ていなければいい作品。

冤罪が明白な死刑囚。クリント演じるたたき上げの新聞記者には冤罪だとわかる。大事な手がかりを発見したのだが、あと数十分後に迫った死刑執行を止めることが出来るか?

サスペンスフルな展開に手に汗を握る。

ワーナー・ホーム・ビデオ
トゥルー・クライム 特別版

俺はどちらかというとクリント贔屓だ。よっぽどのことがないとクリント側に立とうとする。だがこの映画は無理だ。脚本、構成ともに優れている。映画として見事にできている。

アルカトラズ刑務所の海側から迫っていく冒頭のショット。無駄なくすべてを説明する。健康診断を受ける黒人の若い男。この男が味わう「特別なこと」を丹念に描いていくことで、この男が死刑囚で、近く死刑が執行されることがわかる。その語り口のうまさ。

Tcrime1_1 アイザイア・ワシントンが映画の最後の最後まで素晴らしい演技を見せる。娘との別れの場面は涙なくしては見られない。慟哭の演技だ。

クリント演じる主人公は酒と女で身を持ち崩した昔気質の新聞記者。平気で自分より年の若い上司の女房を寝取ったり、若い部下の女の子を口説く。家庭には若い妻とまだ4歳ぐらいの子供がいる。

ところかまわずたばこは吸うわ、セクハラ発言し放題、規律なんか糞食らえ。自分の直観のみが頼りで大スクープもものしてきた。その点だけは編集長に信頼があるらしい。人格は最悪。

古くさい造形だ。

20年以上前はこのようなキャラが全盛だった。刑事コロンボも言ってみればこの類型だ。コロンボの造形は、ドストエフスキーの「罪と罰」で、青二才の殺人犯ラスコーリニコフを追い詰める予審判事ポルフィーリだが、冴えないだらしない刑事なり記者が執拗に真相に迫っていく、というタイプのミステリは多い。イギリスではおなじみ「刑事フロスト」がその代表だ。

Clint_eastwood2

そこまではいい。この主人公を当時69歳のクリントが演じるのだ。冒頭、孫のような若い子をバーのカウンターで口説く場面から嫌な予感がする。なにこれ?クリント、すっかりその気なのだ。女たらしキャラを69歳の老人が演じる。

痛々しい。

実際のベッドシーンもある。クリントの首の下の弛み具合がまさしく老人のものでうんざりする。

Tcrime5_1 家庭を仕事のために当然おろそかにするクリント。可愛い4歳の女の子が出てくるが、これがクリントの本当の子供だから始末に負えない。フランセスカ・ルース・イーストウッドという。この映画にも出てくる女優でありクリントの妻のフランセスカ・イーストウッドとの間に生まれた実子なのだ。

この映画はクリントのホームヴィデオかよ!!!

69歳で4歳ぐらいの娘のいる、ばりばりの女たらし新聞記者。そんな奴いねえよ!

ひとえにクリントが主演したために最悪の映画になっている。クリント以外、シナリオも演技も最高!!最後まで目が離せないサスペンス。

張られた伏線は映画の中で綺麗に解決する。いつもながらクリントの映画は清潔だ。状況を説明していく語り口も最高にいい。クリントの才能に脱帽だ。

だが、この映画で主演したクリントは見るに堪えない。上手の手から水が・・というか、このくらい自惚れがないと素晴らしい作品を作ることはできないのかもね。

クリントは何度結婚して何人子供がいるんだっけ?本当はそういう奴なんだけどね、クリントは。

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偏愛・全智賢 Daisy/デイジー

俺の偏愛する全智賢(チョン・ジヒョン)の新作が来る。楽しみだ。相手役は「私の頭の中の消しゴム」のチョン・ウソン。さいこさん、来てますよ!!daisyB jihyonnB chonjihyon

 

リンク: Daisy/デイジー.

chonjihyon

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「TWISTED」 ひねりのないツゥイスト!

2005-04-21 22:33:30
テーマ:(た行)
オチがひねってある、とタイトルでうたっているのだから、まさかと言う人物が犯人だ、と考えるのはあたりまえだろう。
角川エンタテインメント
ツイステッド DTSスペシャル・エディション
どこがひねってある(TWISTED)だ。ストレイト ストオリィ じゃないか!!

主人公の女捜査官の日常があまりに下品でいい加減。あんな人物が有能なわけがない。お約束の「トラウマ」のせいでそんな乱れた日常になるらしい。甘ったれるな!

毎晩前後不覚になるまで酔って、翌朝、以前関係を持った男が死んでいる。私が犯人かも。。。だって。馬鹿じゃないだろうか。そんな話です。

犯人はあまりに普通で、びっくり!!その意味から言えば「TWISTED」だ。

金返せ!!!!!!!

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「taking lives」 テイキング・ライヴズ

2005-04-22 00:03:10
テーマ:(た行)
アンジェリーナ ジョリーが出ているから見た。相変わらずの格好よさ。からみのシーンもあってよさげ。
ワーナー・ホーム・ビデオ
テイキング・ライブス ディレクターズカット 特別版

ところが!せっかくのアンジェリーナ(有能な捜査官の役)が、まるで間抜けになっているのが腹立たしい。

最後の場面で、いくらかポイントを挽回する演出になっているが、ちっともフォローになっていない。

主人公が馬鹿な映画は厭だ。納得がいかない。

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「時をかける少女」 原田知世

2005-05-05 18:05:50
テーマ:(た行)
ラヴェンダーの香りそのものを知らずに見た。いま、家の庭では、フレンチ・ラヴェンダーが小さな花をいっぱいつけている。

ラヴェンダー、筒井康隆、大林監督、尾道・・・・・。そして、原田知世。

可愛い同級生の雰囲気をもつ。いまでも汚れた感じがなく、きれいに年齢を重ねている。希有なことだ。
PI,ASM/角川書店
時をかける少女
角川映画がこの時代を作っていた。いま見たら別の感想もあろうが、この作品は特別だ。

筒井康隆の原作が面白い。NHKの夕方の少年少女むけ連続ドラマにもなった。大林監督が原田知世の可憐さをうまく映し出す。

本編で、ほとんど笑い顔を見せない原田知世が、エンドロールで赤いカーディガンを着て、とびきりの笑顔を見せる。永遠の記念碑。

まさに原田知世は「時をかける少女」となった。

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「箪笥」 韓国美少女ホラー(その三 )

2005-05-19 13:04:23

テーマ:(た行)

二人の姉妹と継母の物語。愛らしい妹、繊細な姉、美貌の継母。それぞれ見るべきところがある。

真ん中あたりで、妹が泣く場面がある。俺はそこで泣いた。切ない話の真相が見えてくる瞬間だ。
アミューズソフトエンタテインメント
箪笥

姉の姿がよい。継母になじまぬ、きわどい眼差し。美しい立ち姿。韓国で人気があることがよくわかる。

継母の美貌。怜悧で神経質。怖いといえばこの人が一番怖い。

継母の継子虐めが下敷きにある。韓国では誰もが知っている物語り類型なのだそうだ。

姉役のイム スジョン。現在韓国でトップランクのアイドル。
イム スジョン
妹役のムン グニョン。親のいいつけを守り、芸能活動で得た金を、社会福祉に寄附する高校生アイドル。「親の言うことを聞く」ことが、彼の国でどれほど重要な意味を持つことか。東京のリトルソウル、大久保のCDショップの店員が熱心に褒めていた。
ムン グニョン
音楽、映像ともに趣味よく仕上がった作品。

俺はこの作品が大好きだ。マニアなら必見!!

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「友引忌」 韓国美少女ホラー(その 二)

2005-05-19 11:52:58

テーマ:(た行)

冒頭の霊安室の場面が怖いので期待したが、怖さは中途半端。

ヒロイン(?)ハ ジウォンのまわりに起きる忌まわしい出来事の描写が凝っている。昔の事故の凄惨な映像には、目を背けた。(見たけど)
松竹
友引忌

物語は、不幸を招く少女を巡る愛憎のもつれ。好きな人には面白いだろう。

俺には退屈だった。

オールド ボーイの執拗な加害者役の男優が同じような雰囲気で出てくる。

俺はレンタルの新作料金で見たがその価値はなかった。レンタル店のキャンペーンで50円で借りられるなら見るといい。

見なくても後悔しない。いい場面はすべて予告やTVCMで出してしまっている。

俺のようなマニア以外には勧めない。

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「誰も知らない」 ケイブルTVでやるね。

2005-05-16 01:30:39

テーマ:(た行)

9時から日本映画専門チャンネルでやります。
見ます。ゴンチチのウクレレがいいんだよな。

ではまたあとで。

見ました。映画館では出来なかったけれど、ウクレレで音を拾いながら見た。いくつかフレーズをつま弾いてみる。

丁寧に子供の目の高さから撮影されている。コンビニの店主の顔も子供から見た高さだ。

さらに子供たちの足許を撮る。外で遊ぶために玄関先に靴を並べる場面。長女が満面の笑みを浮かべている。弟がふらふらふざけている。にやりと笑う長男。

次男の動きに目が釘付けになる。笑ってしまう。あのような子はどこにでもいるのだが。

植木鉢代わりのカップがベランダから落下する。忌まわしい予感。

電気も水道も止められ、苛立ちもきわまる長男。悲しそうに見上げる次女。その表情が忘れられない。ユートピアの終わりも近い。

アポロチョコのくだりは涙が出る。次女役の清水萌々子が可愛らしい。仕草や言葉が心に残る。

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「誰も知らない」 子供だけのユートピア

2005-05-13 22:44:08

テーマ:(た行)

子供たちは、映画の中で髪が伸び、少し背丈も伸び、顔立ちすら変わっていく。季節が移り、子供たちは成長する。そのさまをずっと見続けていたい。

バンダイビジュアル
誰も知らない

子供たちの素(に思える)のことばが心地よい。口ごもったり、変な丁寧語だったり、素のやりとりが聞かれる。

出演者を、身の回りのそれぞれに置き換えられるほど親しく感じる。子供たちの息づかいを聞く。優れた演出だ。
誰も知らない1
現金がなくなり、困窮しながら子供だけの生活は続く。最初、しっかり片づけていた部屋も、長男が子供らしくゲーセンにはまり、汚くなっていく。遊びたい盛りだ。

子供たちはすこしも泣き言を言わない。親を責めない。いくら親を断罪してみたところで意味のないことを知っているのだ。まわりで手をこまねいて見ているだけの者が親を糾弾しようとするのだろう。

親がどうであれ、子供たちは日々生きて行かなくてはならない。

母親役のゆうが、難しい役どころをさばさばと演じている。母親の駄目さが表に出てくると違う映画になる。母親にも、父親たちに対しても憎しみや怒りがわいてこないところが大事だ。

一番下の子供のエピソードは心に残る。

この映画を見たあと、アポロチョコをいくつも買っては人にあげたりしている。まだ一粒も自分の口に入れたことはないのだが・・・・・。

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