« 三遊亭円弥師匠死去 | トップページ | 「ミリオン ダラー ベイビー」 レモンパイの店の名前 »

「松川事件(1961)」 恐ろしい国家犯罪

1949年に福島県で列車転覆事故があった。 調べてみると、何者かによってレールがはずされ、明らかに脱線転覆を意図した事件だった。

一人の19歳の若者が傷害容疑で逮捕される。大規模な国鉄の人員整理で解雇されたばかりだ。列車転覆事件を自白する。自白に基づき、国鉄労組関係者、同じように大量解雇があった東芝労組関係者が20人、逮捕される。

結果から書くが、全員まったくの冤罪だ。1961年全員無罪、1963年検察の控訴も棄却され無罪確定。歴史に残る国家のでっち上げ冤罪事件だ。

映画「松川事件(1961)」は事件の発端と裁判の経過を淡々と克明に描く。1961年の仙台高裁差し戻し判決が出る前に製作されている。映画の最後で、判決がこれから下される、と結ばれる。映画は無罪を確信している。

この作品自体が、被告20人の冤罪を救うための募金で作られている。当時の金で4,500万円。小さな額ではない。出演者 も、精鋭が揃っている。宇野重吉、宇津井健、千田是也、殿山泰司、西村晃、多々良純、加藤嘉、沢村貞子、北林谷栄など。一審の裁判長役の鶴丸睦彦など、憎々しい顔つきがあまりに真に迫っていて、夢に見るほどだ。加藤嘉の二審の裁判長も同じ。名演と言うべきか。

若者の嘘の自白がすべてを招いたのだ。若者は警察署に拘束されるが、酒を飲まされ、たばこを与えられ、時には刑事と一緒に風呂に入りながら、検察の描いた事件のストーリーげに従い、自白をさせられていく。脅され、嘘の証言を聞かされ、朦朧状態で自白調書に署名させられる。まったく身に覚えのないことを自白させられる恐怖。拘禁状態で追い詰められると人間はそのような心理状態にもなるようだ。

裁判では、自白調書のみが証拠とされ、家族のアリバイ証言もすべて退けられる。労働争議や、共産主義者を悪と決めつけ、見せしめにすることが狙いだったからだ。

第一審で、5人が死刑判決、5人が無期懲役、残りも全員懲役刑。本当に恐ろしい。二審でも3人の無罪者が出たが、死刑4人、無期懲役2人。事件の物的証拠がことごとく検察のでっち上げだ、と証明されたにもかかわらず。

共産主義者が国家転覆のため革命闘争を行おうとしているとの社会不安があった。大事件を起こし、社会の混乱に乗じて共産主義政権を作ろう、と本気で考えるのが共産党だ。今もその本質は変わっていない。オウムと同じと断言してもいい。それが世界の平和につながると確信していることも同じだ。

共産党に対する恐怖が生んだ冤罪事件だ。国家は共産主義者におびえ、全くの無罪の人間に二度まで死刑判決を下した。アメリカのGHQが係わっていることが言われている。線路をはずしたのはアメリカ兵12人だった、との目撃証言もあるそうだ。目撃者は、後日、水死体で発見される。殺されたのではないだろうか。

国家を維持し、政権を保つための現実にはこのような暗い面がある。選挙で嫌がらせの対立候補をたてることなど、茶番に等しい。「平和ボケ」はニッポンのアイデンティティだ。

|

« 三遊亭円弥師匠死去 | トップページ | 「ミリオン ダラー ベイビー」 レモンパイの店の名前 »

「映画(ま行)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/164307/9963671

この記事へのトラックバック一覧です: 「松川事件(1961)」 恐ろしい国家犯罪:

« 三遊亭円弥師匠死去 | トップページ | 「ミリオン ダラー ベイビー」 レモンパイの店の名前 »