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「The Island」 こ、こわい。

2005-08-06 21:59:52

テーマ:(あ行)(う゛)

クローンを扱った物語だ。クローンが人格をもってしまったらどうなるか。なぜクローンが作られているのか?さまざまなふくらみが出てくる。サスペンス・アクションと言えばそうだが、神の領域に踏み込む思考実験だ。
ワーナー・ホーム・ビデオ
アイランド(UMD Video)

Kyrie Eleison の歌声で始まる冒頭は美しい。Kyrie Eleison。ギリシア語で「主よ哀れみたまえ」。

快適な環境(?)にいるたくさんの男女。同じ服装。完全に管理された日常。俺はこの描写だけで、身体が硬直するぐらい恐怖を感じる。
     island
ユアン・マクレガー演じる、トム・リンカーン。スカーレット・スワンソン演じる、サラ・ジョーダン。なぜ彼らはここにいるのだろうか?疑問をもつトム。いくつかの鍵を開き、島に行くことの秘密を見てしまう。抽選で当たった、サラを伴って「快適な環境」を逃げ出す。躍起となって二人を取り戻そうとする施設長。アフリカ訛りの傭兵を使い、二人を追いつめていく。
     island2
自動販売機や、自動ドアが作動するたびに機械音で「ありがとうございました」と聞こえると俺は逆上する。キャッシュ・ディスペンサーもそうだ。機械音で指図されるのがとにかく不愉快だ。

制服が嫌いだ。偶然だが、俺は制服と言えるものは幼稚園の園児服しか着たことがない。中学も高校も私服が許される環境だった。この冒頭の「よい環境」を心から嫌悪する。そう感じない人がいたらこの映画の重要な点を見落とすことになる。

抽選会だけが楽しみで、そこにいるすべての人が、汚染のない美しい島に移住できることを夢見ている。同じものを着て同じ作業を毎日続け、がんじがらめに管理されることを何とも思わない。外の世界は「汚染」されているから。

日本人は特にこの冒頭を違和感なく見るだろう。むしろ、いい暮らしだと思う人もいるに違いない。日本社会は、とにかくうるさく指図され、機械音でありがとうと言われても何とも思わない人だらけだから。

この冒頭は巧妙に作られた現代の社会のステレオタイプだ。

天地創造のあと、神はアダムとイヴを成人の状態で地上に作った。この作品に出てくるクローンが成人の状態で作ることが出来る、といっているのを見て戦慄した。おそらく生化学の領域では現時点で可能な技術ではないだろうか。そう思わせるリアリティがある。作中の人物がクローンに語る「人間は自分が生き延びるためだったらどんなことでもする」という言葉はそのまま恐怖に直結する。

三十三間堂に行ったことがある。千体の仏像が建ち並び、それぞれ面持ちが違う。よく探すと自分とそっくりな仏像があるから探してみなさい、というガイド。中学生だった俺はぞっとした。俺は、自分とそっくりな仏像なんか見たくなかった。シューベルトの歌曲集「冬の旅」にもドッペルゲンガーの恐怖を歌う詩がある。双子も本当はお互いの違いを敏感に意識して、あいつと俺は違う、と認識している。それが人間だ。
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(この項↓↓↓↓↓↓下に続く)

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コメント

■同感!

>すべての事件事故報道は娯楽だ

同感。映画ネタと報道の境目はないですね。すべてが「○○劇場」化しています。

おっしゃるように、伏線の面白さ・・・。
SFが苦手の私にも、十分楽しめました。

マダム・クニコ (2005-09-05 10:03:30)

投稿: コメント | 2006年2月 7日 (火) 10時02分

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