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「赤目四十八瀧心中未遂」 ふたたび

2005-05-13 21:00:15

テーマ:(た行)

受け身に生きて流されていく甲斐性なしが、毅然と生きる底辺の女に振り回される。女は生命力に満ち、肉親の不始末を身に負い、金で売られていく。たまたますれ違った甲斐性なしが、つかの間、道連れになる。

いっそ死んでしまいたい。今の境遇は自分の命であって自分の命でない。その悲しさ絶望は底知れない。

しかし、女は一人意を決してさっと電車を乗り換える。女の心境の変化、決意をわからないまま、ぶざまに取り残されまた流されていく主人公。

この場面の哀切さは映画でなくては表現し得ない。何度見ても涙がこぼれる。

見ている俺も、主人公も、女の行く末を思い、決意の真意に思い当たり、立ちつくす。

車谷長吉の原作を改めて読んだ。

この小説はガキが読んでも意味がわからないだろう。無為を託つ主人公の心情にまず共感できない。また阻害された底辺に生きる女の心情が理解できない。

府抜けた漫画のような恋愛小説が流行っている。毒にも薬にもならない。口当たりだけのポップ菓子だ。

それらに比べこの小説は歯ごたえがある。俺も年月を重ね、親しく理解するところとなった。この「毒」を身に帯び、やっと生き延びていくことが出来る。

人生には「毒」も必要だ。

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